2016年12月03日

【新連載】Swing


Swing 
豆もち


 最近寒くなってきた。まだ午後五時だというのに空は薄暗く、街のライトが存在感を増している。僕は白いセーターに身を包み、好きなアーティストの音楽を聞きながら歩いていた。何色ともつかない空に向け、はぁ と僕はため息を一つこぼす。特に理由があるわけではないが、どこか満たされないような、そんな思いが最近続いている。それは冬の訪れとともに現れ、だんだんと深まっていくようだった。やはり冬には、夏のふわふわと浮つきどこかへ飛んで行ってしまいそうだった人々を、ぐっと地に引き寄せる重さがあるみたいだ。駐輪場に着き、停めてある自転車に鍵を差し込み、それにまたがると僕は家へとこぎ始めた。
 こんな風に意味もなく落ち込んでいるのは僕らしくない。だから、どうにかしてそれを吹き飛ばしたくて思い切り自転車をこいだ。まわりの景色がすごい速さで通り過ぎていく。全力でこぐ。漏れた息にはさっきとは違う温度がある気がした。

posted by 新月 朔 at 00:19| Comment(0) | はじめに | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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