2009年12月23日

みち 最終回掲載分 作:尾田嘛嬉

 選択

それは突然に迫られる

選ばなければ進めない

進むためには何かを選ばなければいけない

しかし

その選択の是非はわからない

だからぼくは

――このみちは間違ってない

そう思って進む


五  「続」の章

歩いてきたみちは長く

決して楽なものではなかった

歩くほどに

僕の目の前に続くみちは

表情を変え

僕の行く手を不安なものにする

この世界は僕しかいなくて

誰も助けてはくれない

何のために歩いていたのか

何を目指して歩いてきたのか

今まではただひたすらに歩いてきたが

今なんとなくわかりはじめた

このみちの終わりに何があるのか

僕を待つ運命

それは・・・

その運命を受け入れる

ジタバタしたところで

運命を変えられるとは僕は思わない

ただ受け入れる準備だけはしておく

しかし運命が決まった何かではないということを

僕はまだ知らない

もともと決まった運命などなく

決められたみちの上を歩くことはないのだ



やがて時は過ぎ

僕は大人になる

もう目の前にみちはない

でも僕は歩く

わけもわからず歩いてきたあの頃とは違い

ちゃんと先にあるものを見据えて

これから

いろんなことを考え

いろんなものを見て

いろんなみちを歩く

見たことのない

誰も通ったことのない

そんなみちを行く

そして

今度は僕がそのみちを案内する

後世の「僕」にそれを引き継ぐために

後世の「僕」が迷わないように

そっと手を差し伸べる

「僕」を邪魔しないように

軽く背中を押す程度に

僕が今までされてきたように



「僕」はこう思っていることだろう

――僕は誰なんだ?

――ここはどこなんだ?

――何をめざすんだ?



そこで僕は「僕」に

――そんなこと考えたところでわかるわけない

――さぁ行くんだ

――その答えを探すために

と言ってあげる

「僕」が一歩踏み出すことを

迷わせないために

悩ませないために



目の前はみち

このみちはどこまでも続く

しかしこのみちは忽然と姿を消す

このみちが消えるとき

それは「僕」が大人になったとき

そのとき「僕」は

本当の未知を進み始める

みち 完
posted by 新月 朔 at 23:16| Comment(1) | みち | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
タイトルに込められたダブルミーニングにぐっときました!完結お疲れ様でした!次回作も期待してます!
Posted by at 2009年12月26日 00:00
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